リットフーロは、2023年9月にファイザーから発売された、円形脱毛症(広範囲で難治)の薬です。
免疫抑制剤の一種で、オルミエントと作用のしくみは似ている薬です。
まずリウマチ薬として販売され、その後使用範囲が広がって円形脱毛症にも使われるようになったオルミエントとは違い、リットフーロの適応症はなんと「円形脱毛症」のみ。
リットフーロが使える場合
- 12歳以上
- 頭部の脱毛範囲がだいたい50%以上
- 過去6ヶ月以内に自然発毛が見られない。
- 医療施設や医師が使用基準を満たしていること
リットフーロが使えない患者さん(禁忌)
- リットフーロの成分に過敏症の既往歴あり
- 活動性結核の患者さん
- 好中球数が1000/mm3 未満
- 妊娠または妊娠している可能性がある女性
- 重篤な感染症(敗血症など)の患者さん
- 重度の肝機能障害(Child Pigh 分類C)
- リンパ球数が500/mm3 未満
- Hb(ヘモグロビン)値が8g/dL未満
- 血小板数が100000/mm3 未満
最初の投与の前には必ずX線検査や血液検査で、この薬が使えるかどうかをチェックされます。
投与後にも、副作用が出ていないか、定期的に検査があります。
リットフーロと相互作用のある薬(併用注意)
CYP3Aの基質となる薬剤
ミダゾラム(ブコラム口腔用液、ドルミカム注射液)など。
CYP1A2の基質となる薬剤
テオフェリン(テオドール)など。
→安全域が狭い薬剤は特に注意する。
リットフーロがこれらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性あり。
リットフーロの副作用
重大な副作用はオルミエントとほぼ一緒です。
- 消化管穿孔
- 感染症(帯状疱疹、肺炎、敗血症、結核など)
- 好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少
- 血小板減少
- 肝機能障害
- 間質性肺炎
- 静脈血栓塞栓症
- 出血
その他の副作用では、悪心、腹痛、頭痛、不眠、軽めの感染症(上気道感染症やヘルペスなど)、ざ瘡、LDLコレステロールの上昇などがあります。多岐にわたるため、詳しく知りたい方は添付文書を参考にしてください。

副作用の項をよくみると、1%未満だけど脱毛症っていうのがある‥。
リットフーロの使い方
50mg(1錠)を1日1回服用。
48週後も治療効果が見られない場合は、投与中止を考慮する。
食前食後、いつ飲んでもOK!
(実は食事の影響は少しあるのですが、臨床的には影響がないと思われます)
大体同じ時間帯に飲むようにします。だいたい1年後に、続けるかどうかの判定をされます。
リットフーロとオルミエントの差は
細かい差はいろいろありますが、患者さん側として大きな差は
- リットフーロは12歳以上で使用できる。オルミエントは15歳以上。
- リットフーロは2024年8月までは1回の処方せんで14日分までしかだせない。
そのため、現時点では高額療養費制度を使うのは難しい。
というところだと思います。なので現時点では、12〜14歳の低年齢の患者さんや、オルミエントで効き目がでなかった患者さんなどに使われるのかな、と思っています。

オルミエントの使えない患者さんで検討されるのかな。
リットフーロの効き目について
脱毛面積が50%以上から20%以下まで減った患者さんの割合を調べたデータがあります。
リットフーロを48週間飲んだ群は23.39%(124人中29人)、
プラセボ群は1.54%(130人中2人)

リットフーロを約1年飲んで、脱毛部が20%以下になるのが10人に2〜3人、
飲まないと100人に1〜2人程度。
この割合を多いとみるか、少ないとみるか‥。飲まないより効き目はあるけど、10人に2、3人か。
データだけ見ると、オルミエントより少し効き目が弱い気がします。



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