むかしは脱毛症の内服治療薬といえばセファランチンとグリチロン酸の組み合わせ一択じゃった。
最近ではめっきり影が薄くなったが、それでもときどきこの処方をみかけることがある。

そういえばセファランチンについてあまり真剣に考えたことがない!
と思い調べてみました。
セファランチンの歴史。
すごい昔からあるなあ、と思っていたら、セファランチン錠が販売されたのは1958年から(注射は1957年)だった!長老。
有効成分はタマサキツヅラフジの抽出成分。
生薬から作られた薬なのだった。
タマサキツヅラフジはもともと台湾の山地に生えていて、現地の人は蛇に噛まれた時の治療薬として使っていたそうだ。
日本では、
1942年には結核の治療、予防薬(原薬)
1948年にはマムシの咬傷(注射)
1948年には百日咳、気管支喘息(内服、注射)
1955年には胃潰瘍、胃酸過多、胃炎(内服、注射)
1957年に円形脱毛症・粃糠性脱毛症(内服、注射)
1960年に浸出性中耳カタル(注射)
と医薬品としての承認が広がっていった。

実は万能薬だった!?
1995年に新しい基準で再評価され、メーカーも自主的に取り消したりして、現在承認されている効能は、
内服
円形脱毛症・粃糠性脱毛症
放射線による白血球減少症
注射薬
円形脱毛症・粃糠性脱毛症
放射線による白血球減少症
浸出性中耳カタル
マムシ咬傷

胃障害系と喘息系と結核の適応はなくなった。
それにしても、一見関係のないようないろいろな疾患に処方される。
どんなしくみで効くんだろう。
セファランチンの薬理作用
セファランチンの薬理作用は次の通り。
- 血液幹細胞増殖作用
- 抗アレルギー作用
- 副腎皮質ホルモン産生増強作用
- 末梢循環改善作用
- 毛乳頭細胞増殖・成長作用
脱毛症には3、4、5、白血球減少症には1、中耳カタルには2、3の作用が関係しているのかな。
これに加えて、注射薬にはもう2つ、薬理作用が記載されている。
- 生体膜安定化作用
- マムシ毒による致死の抑制作用

マムシ毒に効果ありって、意外にセファランチンってすごいな〜
消えたセファランチン外用薬とその後。
昔はセファランチンの塗り薬も発毛剤として市販されていた。当時結構宣伝もされていたような記憶がある‥うろおぼえだけど(⌒▽⌒)。
が、皮膚科学会のガイドラインであまり評価されなかったせいもあるのか、ガイドラインが発表されてしばらくしてから発売中止になった。
男性型(女性型)脱毛症に対する発毛剤について、他の発毛剤の評価はC1(行ってもよい)だったのに、セファランチンの発毛剤だけはC2(行わない方がよい)だったのだ。
でもこれはセファランチン外用薬だけが明白に効き目が劣っていたわけではなく、他の発毛剤に比べて論文が少なかったから。セファランチン外用薬単独での発毛効果を調べた論文がなかったから(2010年当時)、他の発毛剤より評価の低いC2となったようだ。

論文がもう少しあれば、評価は変わっていたのかも。
まだセファランチンの発毛剤をどこかで作っているかな、と探したらなんとCOOPで発売していた。
COOPって食品のイメージあったけど、化粧品も作っているのね。




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