脱毛症の場合、セファランチンと必ずと言っていいほどペアで処方されるグリチロン配合錠。
コイツについてもあまり考えたことはなかった。
グリチロン配合錠の歴史。
すごい昔からあるなあ、と思っていたら、グリチロン錠の原型が販売されたのは1954年!やっぱり長老。再評価など経て、名前が変わりつつ、今日まで発売されている。
1954年には「グリチロン錠2号ミノファーゲン」
1956年には「グリチロン錠2号」と改名
1991年には「グリチロン錠」と改名
2009年には「グリチロン配合錠」と改名
有効成分(グリチルリチン)は甘草の抽出成分。
生薬から作られた薬なのだった。
有効成分には他にはアミノ酸のグリシン、dlメチオニンが含まれる。
グリチルリチンの効果・効能
昔の効果効能は
- 肝炎、肝臓障害
- 薬物中毒
- 食中毒
- 二日酔い、疲労
- 湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、ストロフルス、
- 薬物過敏症
- 円形脱毛症
- 胃炎、胃酸過多症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍

だいぶ今より多い。
で、現在承認されている効能は、
- 湿疹、皮膚炎、小児ストロフルス
- 円形脱毛症
- 口内炎
- 慢性肝疾患における肝機能異常の改善

胃障害系と中毒系と疲労二日酔い、蕁麻疹、薬物過敏症の適応はなくなった。
それにしても、一見関係のないようないろいろな疾患に処方される。
どんなしくみで効くんだろう。
グリチルリチンの薬理作用
グリチルリチンの薬理作用は次の通り。
- 抗炎症作用
- 免疫調節作用
- 肝細胞障害抑制作用
- 肝細胞増殖促進作用
- ウイルス増殖抑制・不活性化作用

円形脱毛症には抗炎症作用と免疫調節作用が関係してる。
グリシン、dl-メチオニンの薬理作用
グリチルリチン酸内服によりおこる尿量及びナトリウム排泄量の減少を抑制する。
グリチロン配合錠の注意事項。
<禁忌>
1. 血清アンモニウム値の上昇傾向にある末期肝硬変症の患者
2. アルドステロン症、ミオパシー、低カリウム血症の患者
1はdl-メチオニンの代謝物が尿素合成を抑制し、アンモニア処理能力を下げるため。
2はグリチルリチン酸が低カリウム血症、高血圧症を悪化させる恐れがあるため。
<重要な基本的注意>
甘草を含有する製剤との併用はグリチルリチン酸が重複し、偽アルドステロン症がでやすくなるので注意すること。

甘草を含む漢方は多いので、漢方併用の場合はチェックすること。
↓ 医療用漢方の甘草についての記事です。

甘草を多めに含む漢方【一覧表】
「1日2.5g以上の甘草を摂取している人は副作用に注意」というと‥ 1回1包1日3回飲むとして、 1包あたり約0.83g以上。ツムラだと下の表の通り。 (メーカーによって同じ名前でも入っている量が違うことがあるので注意) 番号漢方名g14

甘草を含まない漢方【一覧表】
甘草を含んでいる漢方薬は多いので、含まない漢方薬を覚えたほうが早い。 ツムラでは129方剤中33方剤のみが甘草を含まない漢方薬。 番号漢方名7八味地黄丸8大柴胡湯12柴胡加竜骨牡蠣湯15黄連解毒湯16半夏厚朴湯17五苓散21小半夏加茯苓湯2


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